イタリア語に『嫌い』はない?!
工房に時々見学にやってくる日本人の女の子から質問を受けた。彼女はイタリア語歴6か月目。
『イタリア語できらい!ってなんていうんですか?』
外国語を習い始めて初期のころというのは、日本語の単語をその国の言葉に直そうとする。一つの単語が問題なくすんなりあてはまる場合もあるし、そうじゃない場合もある。私は英語のほうはエキスパートではないから、思い込みかもしれないけど、イタリア語と日本語の方が、イタリア語と英語より近い気がする。
もちろん、日本語とは文字も違うし、英語とイタリア語のほうはどちらもアルファベットでラテン語をベースにしている共通の単語がたくさんある。
たとえばモノを一つの単語で言い表せる、というのは対象物がどのくらい身近に感じているか、ということに繋がらないかな。同じネコでも、子猫と一言でいうほうが『小さい猫』というより言いやすい。(この辺りでは英語でもkittyなんてのがある。)
でもイタリア語では、日本語と同じように子猫、大猫、どら猫、悪ネコ、ミーちゃん、なんて言い分けも一つの単語でできるんだ。
私がもう一つ言いたいのはセンチメンタルの部分。
たとえば「間に合ってよかった…」の『よかった』って感覚は英語で言う”GOOD”よりもイタリア語の”meno male...(少なく悪かった=よかった)"のほうがうんと近い。はぁ、って安堵の息を吐きながら胸をなでおろす感覚。英語の”good"だと『よし、OK!』って軽すぎる気がするし、”thanks goodness"だと反対に重く感じちゃう。
お花のひまわりだって英語ではサンフラワー、じゃあイタリア語ではなんというかといえば、”Girasole (gira=まわる、sole=太陽)”
ねーーー!!!(^_^)
なのに虫が嫌いだとか、お肉が嫌いだとか、そういう表現に関して、イタリア語にはひとつの単語で表現できる『嫌い』は存在しない。”non mi piace..." 好ましくない、好きじゃないという言い回しになる。このなんだかイタリアに不相応な奥ゆかしさはどこから来るんだろう!?
でも、誰かを嫌い、という場合の『嫌い』は一つの単語で存在する。
”Odio ! "
イタリアらしい!! (^_^)