ボローニャ駅でのトイレの出来事
2つの入り口の間にあるガラスがはめられた割れ目は、1980年8月2日のボローニャ駅テロ事件のしるしとして残してある。
85人の死者の中には一人の日本人大学生も含まれていたらしい。
靴のTODSの社長と、モンテゼーモロというフェッラーリの会長を務める実業家たちによって起業された、新しい鉄道会社。
ITALO(イータロ)という。
今日はこれで再びミラノ入り。
こっちはFS、イタリア国鉄、フレッチャ・ロッサ。
わたしなんだか鉄子になったみたい。
最近イタリアの主要駅では、モダンできれいな有料トイレが設置されている。
おしゃれな洗面台。
広々としたスペース。
もちろんトイレットペーパーもソープもハンドドライヤーもフル装備。
お金を入れると開く自動ドアで、清掃員が常駐している。
だから不潔な駅のトイレ、というイメージからは脱却したといえる。
今日、そこの前でトイレに行った友人を待っていた時の出来事。
この自動ドア、ショップの入り口にあるものとは違って、人ひとりがやっと通れる幅で膝から頭くらいまでの高さのガラスが、お金を入れたほんの一瞬だけ左右に開くシステムになっていて、ドアが開いたからといっても、お金を入れた本人がさっと入れるくらいの短い時間しか開閉しない。
その前に、一人の老女が、自動ドアの前で立ち止まっている。
ジプシーではないけれど、貧しいみなりだ。
トイレに行きたいのかな?
でも彼女は小銭を取り出す風でもないし、ただその自動ドアの前で何人かがコインを入れて入っていくのを見ていた。
彼女はしばらくその前に立っていたが、2人ほど女性がコインを入れて入った後に素早く後に続いて中に入った。
そうすると、彼女の前に入ったコインを入れた女性が、清掃員にその老女を指さして、おそらく、彼女がコインを入れずに入ったことを告げたのだと思う。
清掃員は、その老女をトイレの外にでるように指示し、彼女はもといた、自動ドアのところに戻ってきた。
その様子を見ていた私に、老女はどこかほかにトイレはないのかと聞いた。
トイレの使用料金は1ユーロ。
彼女にはトイレに1ユーロ払うことはできないんだ。
今まで無料だったトイレはあまり清潔ではなかった。
それがトイレが有料になって、清掃員のいる、きれいなトイレになった。
駅に限らず、観光地にはきれいな有料トイレがあちこちに設置されるようになった。
でも、その1ユーロをトイレに払うことのできない人たちは、この生理現象をどう処理すればいいんだろう。
わたしは普段、施しを聞いて歩くジプシーには、お金を渡さないほうだと思うけれど、
その老女をトイレに行かせてあげようと思い、バッグに小銭を探した。
はて!わたしの財布には80セントの小銭しかなかった。(>_<)
ユーロ硬貨は重いので、日ごろからできるだけ小銭を財布にためないようにしていることがこういう時裏目にでる。
ひー。
ちょうど、トイレの中から友人が出てきた。
自分のではない、友人の小銭入れから、足りなかった20セントと、もう2ユーロプラスして、(ごめんね友よ!後で返すから・・・)
おばあちゃん、コイン投入口に入れるのは1ユーロでいいんだよ。
2ユーロのほうは今は使わずに次のために取っとくんだよ。といいながら、私たちはトイレを後にした。
みんながお金を払って使っているトイレ。
お金を払えない人は、使えないんだろうか…