ね こ ろ ぐ

イヌのココロを持ったネコ。イタリア暮らし。ドラマチックな毎日をつづっています。

ジプシーは億万長者 !

 

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イタリアは最近、財政難だもんだから、税務署のチェックが非常に厳しい。

高級車に乗っていると、その車に見合う収入が申告されているか抜き打ちでチェックしたり、BARなどで利用者の数と売り上げがあっているかなど、今まで以上に厳しくなってきた。

ニュースではその監査の結果、売り上げがチェックの前と後では町全体で前日比(たった1日)300%UPしたリゾート地や、

申告されている年収が50万円なのに、フェッラーリに乗っている人が検挙されたりしている。

クルーザーという私に縁のない物を持っている知人は最近それを『もらってくれー!』と叫んでいる。

彼のもとにやってきた税務署の監査によると、もっと収入がないと持てない代物とされたんだそうだ。

 

今日はローマでなんとジプシーが検挙された。

しかも脱税で。

ジプシーってロムと言われるもともと北インドのロマニー系の移動民族だといわれているが、イタリアでは街の郊外にトタンや廃朴でできたバラック、キャンピングカーなどで集落を作ってほぼ定住している。

21世紀の暮らしとは思えない、文化的でなく、衛生的でない生活で、ときどき彼らもスーパーマーケットで買い物するのでレジなどで近くに並ぶこともあるが、女性たちはそうでもないが、ジプシーの男たちはお風呂に入ることもしないのか、そばに来ると、悪臭がすることが多い。

彼らの主な仕事はお金をめぐんでもらうこと。

もしくは盗むこと。

なんだけれど、税務署がチェックした結果、ローマ郊外に住んでいるジプシーの家族に60万ユーロ(今のレートでおよそ7200万円)の銀行預金と、それ以外に貸金庫に金や高級時計、ジュエリーなどがあったそうで、総資産は数億円。

また別のジプシーの家族にも30万ユーロ(およそ4000万円)の預金などがあったそうだ。

 

でも、ためておくだけで使わないお金に、どんな価値があるというんだろう。

単なる大きな数字か、もしくは、分厚い紙の束であるだけ。

 

たっぷりお湯の入ったバスタブで手足を伸ばすこともなく、

あたたかいふわふわの清潔なベッドに眠ることもなく、

流行のファッションを身にまとったり、やわらかい履き心地のいい靴を履くこともなく、

たまに、レストランで食事をすることもない。

健康に生まれてきた赤ん坊も不憫に見せるため、手足を折られたり、目を見えなくしたり。

ひたすら、迷惑がられたり、嫌がられたりしてためてきたお金に、何の価値があるというんだろう。

ただ、貯めておくお金。

 

以前にも書いたけれど、イタリア政府はジプシーの子供たちにも義務教育の場を提供している。

だけど、やっぱり続かない。

(お金をあげたからって解決しないhttp://nekorogu.hatenablog.com/entry/2012/12/20/060228

 

いつの時代のどの場所に、何人として生まれてくるかは自分で決めたことじゃない。

もしかしたら、わたしだって、汚れたジプシーの子供として生まれたかもしれないし、

もしかしたら、ロイヤルファミリーのプリンセス(ないない!!)だったかもしれない。(確率としては、ジプシーのほうが高い…)

 

今日も、紙コップの中の小銭をちゃりちゃり鳴らしながら、街中を物乞いして回る彼らを見ながら、わたしはなんだかもやもやした感情を抱えている。