ね こ ろ ぐ

イヌのココロを持ったネコ。イタリア暮らし。ドラマチックな毎日をつづっています。

イタリアにイタリア料理はなくて、日本にはイタリアにないイタリアがある。

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 『イタリア料理』って、ひとくくりに言ってしまうことが多いけれど、じつはイタリアは『イタリア料理』はない。

 ミラノで、ミラノ料理のレストランに行き、

『僕、トマトのスパゲッティ!!』

なんて言われても、ないことが多い。

 

 ナポリ料理のお店に行って、

『この間食べたお豆とパンの入ったスープがおいしかったから、私はあれ!』

とリクエストされても、ない。

 

 もともといま私たちがイタリアだと思っている、長靴の形をした国は、ほんの150年前までなかったんだ。

 ヴェネツェイア、フィレンツェ、ナポリ、ロンバルディア・・・

それぞれが別の国だったから、言葉も違うし、当然食べ物も違う。

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 もう、ずいぶん昔の日本でのこと。

 今駅前にあるショッピングモールが、まだ古い建物だったころ、その中にピンクと白のインテリアのちいさなパーラーがあって、コーヒーやらパフェ以外にもスパゲッティのメニューがあった。

 何時間も前に茹で上げたスパゲッティをフライパンでケチャップと合わせて炒めてつくったもので、ステーキによくつかわれる鋳物のお皿に乗って、じゅーーっと麺の水分が油に反応してアツアツの炒めたてですよ、という音を立てて出てくる。まずくはなく、お昼時には結構いっぱいで待たないと座れない時もあった。

 パスタメニューはミートソース、シーフード、カニコロにまじってイタリアンスパゲッティというのがあって、それは同じくケチャップで炒めた麺の上に、パン粉をつけてフライにしたイカリングが5つくらい乗っかっているものだった。

 そこに時々、その当時の事務所のボスとランチに出かけていたのだけれど、ボスの夢の一つが、

ーイタリア人にこの店のイタリアンスパゲッティを食べてもらうこと。

だった。

 何年か経ち、ボスの夢をかなえてあげられる時が来た。

相手は生粋のナポリ人!

答えは、オチでも何でもなく、『スパゲッティに似ているが、別の食べ物。』ということだった。

 その次のボスの夢はインド人にカレーどんぶりを食べてもらうこと。

ボスにはしばらく会ってないけれど、2つ目の夢はかなったかなぁ…