あなたのおうち、ヤカンありますか?
5月も末にちかいというのに、道行く人はジャケットや、コートを着て、ストールを巻いて歩いている。
この数か月、というより、今年になって5か月、ずっと梅雨のようなお天気。
晴れの日が3日ともたない。
今年に入って、イタリアに1週間旅行に来た人がいるなら、その期間中ずっと雨だったという人もいるはず。
雨は6月の半ばまで続くらしい。
気分的には、これから夏になるというよりも、また秋になって、クリスマスになりそうな感じがする。
フィレンツェにもどってきた。
空っぽの冷蔵庫をうめるため、朝からちょっと野菜を買いに、サンタ・アンブロージョのマーケットに行ってきた。
買ってきたのはこれ!
やかん。
なんだ、野菜を買いに行ったんじゃなかったの。(^_^)
ちょっと野菜も買ったけど、となりで売ってたガラクタの中に、ぽつんとひとつこのやかんがあるのを見て、思わず買ってしまった。
不思議かもしれないが、イタリアの一般家庭にやかんはない。
アレッシだってあんなモダンなやかんを作っているんだからありそうなもんだけれど、イタリア人の知人の家を思い起こしてみても、友達の下宿先を思い浮かべても、やかんのある家はなかった。
じゃあ、お茶はどうやって入れるのかというと、ホーローやステンレスでできたマグカップより一回り大きめの小鍋というべきか、やはりカップなのかわからないけれど、そういうものを直接コンロにかけてそれでお湯を沸かす。
ミルクをあっためるときもそれを使う。
もっとたくさんの分量が必要な場合は、ふつうのお鍋を使っていたし、お湯を沸かすのにやかんを使うのは見たことがない。
うちにもやかんはなく、お湯を沸かすのは小ぶりのステンレスの片手鍋を使っている。
せっかく買ったこのやかんもきっとお湯を沸かすことはないだろうな。
でもあまりにかわいらしくて、買ってしまった。
このアンティークのやかん、どんな人に使われていたんだろう。