遠くからさよなら
祖母が亡くなった、という連絡が入った。
95歳で、もうこの1年ほどは寝たきりで、家族が言っても、もう誰だかわからなくなっていた。
日本に帰った時に見た祖母は、以前に見た時よりさらに小さくみえた。
わからない、とはいうものの、言葉に出して言えないだけで、もしかしたらなんでもわかっているのかもしれない。
この世にとどまっていてほしいという家族のわがままで本当はもうこんな状態では存在していたくないかもしれない。
生きているものすべて、いずれは死ぬ運命で彼女だけが死ぬのではない。
家族にとっては、物理的に会うことはもうなくなるが
祖母のたましいは、動かなくなった不自由なからだを離れて、やっと自由になったのだと思う。
わたしは1万キロ離れたところにいて、さよならとありがとうを言いに行けないけれど、きっとわかってくれていると思う。