ね こ ろ ぐ

イヌのココロを持ったネコ。イタリア暮らし。ドラマチックな毎日をつづっています。

なぜ、ストラディバリの作ったバイオリンがいいといわれるか、ゆるい理由

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『この道ひとすじ何十年!!』

というのが、日本人は好きだと思う。

最初にやり始めたことをいのち尽きるまで自分の使命としてやり遂げられる人はとても幸運な人だと思う。

 私などはいろいろ過ぎて、全然ひとすじじゃないけど、最近はまた『それも楽し!』と思うようになってきた。とりあえずは全部自分でやっていることなので人に口出しされることがない。

 自分で考えて、自分でやっている。中にはうまくいかないものもあるけれど、全部うまくいくほうがおかしいのであって、今となってはまあいいかと開き直っている。

なんとか、この年齢まで生きてこられた。

 

 クレモナ、という町に行ったことがあり、この町はバイオリンの産地として有名なのだけれど、そこにストラディバリウスの博物館がある。

 そこでは、予約しておくと、100人ほどがやっと座れるくらいのさほど大きくない部屋で目の前でストラディバリウスの音色を聞かせてくれる。

 弾いてくれるのもその町の音楽学院の先生だった。

なまで聞く、たった1台の楽器が奏でる音色とは思えないバイオリンも素晴らしかったが、先生の説明がとっても良かった。

 『なぜ、ストラディバリの作ったバイオリンがいいといわれるかご存知ですか?』

ーわたしなどはその高価なことで名前を知ってるだけだ (-.-)

 『ストラディバリは、そのころの人間にしては大変長生きで、93歳(たしかそうきいたような・・・)でなくなる3日前までバイオリンを作っていました。』

 『昔のことなので10代前半で働き始めたとして、彼は80年近くも、形状や板の厚さ、素材、ありとあらゆることを自分自身の手で試してみることができたのです。』

ーそうか、わかりやすい!(^_^)

 後世の職人は、彼が試した中で最良と思われるものを参考にすればいいのだから。

 

クレモナにはたくさんの日本人もいてバイオリンの制作においては、賞をもらっている人も何人かいるようだ。

でも、バイオリン制作に限らず、イタリア人でなにかの職人になろうという人は、とても減ってきている。

何かの技術を身につけようと思ったところでうまくいかないかもしれないし、しかもそれがわかるのは、下積みの安いお給料で働いて、何年もたってから。

職人になったところで、お金持ちになることがないのは目に見えているし、できればドットーレ(DR.)になって、マネーとバカンスをしっかり確保、そういう暮らしを望む人のほうが多いに決まっている。

世の中、ちょっとお金を中心に回りすぎてる。