ね こ ろ ぐ

イヌのココロを持ったネコ。イタリア暮らし。ドラマチックな毎日をつづっています。

階下に居住していたディノザウルスと侵入者のいびきで怖い思いをしたというお話。

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今朝、アパートメントのドアを開けたら、怪獣が吠えているのかとも思える大いびきが聞こえてきた。

 

-うちのアパートメントがある下の階には去年までイタリア人のおじさんとロシア人のカップルが住んでいて、そのおじさんのいびきと言ったら、ものすごかった。

私の寝室のとなり、とか、真下なら、天井が高く、石の壁の建物でも、物音が聞こえてくることはある。

でもそのおやじの寝室は1階下でしかも斜め下。

あえておやじの寝室と書くのは、のちにロシア人の(愛人か、奥さんかわからないけど)彼女がおなじ部屋で眠るのは不可能で、リビングの隅にシングルベッドを置いてそこで寝ていると告白したからだった。

 

彼らがここに引っ越してきた当初は、その音を聞いて、まさかいびきとは思わず、どこかのアパートが、何かの建設機械かなにかのモーターを回しているんだろうかとも思った。

でもイタリアではそういう機械を使っていい時間帯が法律で決まっているからそんな時間帯にセメントを混ぜたり、ドリルで壁を壊したりはできないはず。

大いびきをかく人は何人か知ってるけど、あのおじさんのいびきは絶対だれにも負けないギネス級だった。

だから、去年、そのイタロ・ロシアのカップルがよそに引っ越した時はとてもうれしかった。

隣の部屋の住人ともまさに手を取り合って喜んだものだ。

なのに、また今度引っ越してきたやつもまた、あのおやじほどではないにせよ、建物中に響くような大いびきをかくのかと、好奇心から階段を1階分降りたとき、階段室にちらりと影が見えた。

大いびきが響くのも当たり前、いびきはアパートの中からではなく、階段室にうずくまった男が発しているものだったから!!!

グレーのジャージっぽい上着を着た黒髪の男は、寝転ぶのではなく、頭を膝にのせた形で階段に座って大いびきをかき続けている。

私は息が詰まるほど驚いて、そっと自分のアパートに戻って静かにドアのカギを回し、マルコに電話した。

すぐに来てほしいと。

マルコは私が家の中にいるなら大丈夫だから30分ほどしたら来るという。

えー、30分も!!

我が家の入り口のドアは去年新しく丈夫なものに替えたばかりで、中に鉄板が入っていて、機関銃くらいでは破れないほど丈夫なんだそうだ。

だから大丈夫だと思っているんだろうけど、侵入者とドア1枚隔てたところにいるのは精神的に落ち着かない。

この時期、この建物に住んでいるのは2階にいる90歳を超えたおばあさんと私だけ。ほかの人たちは留守が多い。

 

だが昨日、夜遅くまで階段室を上下する足音がしていたから、誰かが通りに面した建物の入り口のドアをあけっぱなしにしてしまったんだろう。

それを見たこの男は、寒い夜、歩き続けるより、暖を取りながらこの建物の階段室で寝てしまったんだろうと思う。

気の毒だと思うけど、警察を呼ぶ。

 

結局、警察が来たのとマルコが来たのは同じくらいで、まず、警察が入り、そのあとマルコが私の部屋のインターホンを押した。

男はペルー人で酔っ払って眠っていただけどというけれど、もう来ないでほしいなぁ。