ね こ ろ ぐ

イヌのココロを持ったネコ。イタリア暮らし。ドラマチックな毎日をつづっています。

フィレンツェのイチョウにギンナンがないわけ!

フィレンツェにはイチョウ並木ってないように思うが、それでも街のところどころに何本かのイチョウの木が黄色く色づいている。

20年近く前だったと思うが、友人と街を歩いていると、嗅いだことのあるにおいが漂ってきた。見ると、歩道に落ちたイチョウの実が踏まれて悪臭を放っていたのだった。

イタリアではギンナンを食べる習慣はないので誰も拾う人もなく、清掃車に持って行かれるだけ。

一緒に歩いていたイタリア人にその実を拾いたいというと、怪訝そうな目で見られ、日本人はこれを食べるというと、彼はしばらく固まっていたが、それでもその実を拾うのを手伝ってくれた。

かくいう日本人の私もイチョウの実を拾うのはほんの小さな子供のころ以来。自分で果肉を外して中実のぎんなんだけにしたことはない。でも異国にいる懐かしさからかひさしぶりにギンナンを炒って食べたかった。

私は持っていたスーパーマーケットのビニール袋にその実をいれ、持って帰ってゴム手袋をはめ、果肉を捨てて種を乾かし、なんとか自分が知ってるギンナン状態に持ってきた。

台所にあった栗を炒る穴あきのフライパンでギンナンを炒って、興味深そうに、またその匂いに迷惑そうな同居人と友人の前に殻を割って中身を出すと、ヒスイにも似た半透明の美しい緑色に驚いていた。

でも、それを味見したイタリア人たちは『クリのほうがおいしい・・・』

『わからん奴らだな!このデリケートさが!』と思ったけれど、食べてみるとイタリアのギンナンは確かに味が薄かった。

それ以来、ギンナンを拾うこともなく日本でもたまにお寿司屋さんで松葉に刺したのをいただくくらいで食べる機会もめっきり少なくなったけれど、よく考えるとイチョウの木は今年も同じように色着き、実を結んでいるに違いないのに、街を歩いていてもあの異臭を感じることがないことに気付いた。

きょう、カッシーナの公園の入り口にあるイチョウの木の下を自転車で通った時にふとそう思って、みると、地面に実らしいものが落ちていない!

きっと、20年前に比べるとけた違いに増えた中国からの人たちが持って行ってしまうに違いない!どうおもう?